フランス、パリに次ぐ大都市リヨンで開催される”リヨン・アジア映画祭は今年で12回目を迎えました。
リヨンは世界遺産の街、また美食文化の街として有名ですが、リュミエール兄弟によって、映画という媒体、シネマトグラフが発明された場所でもあります。
リュミエール兄弟が初めて映画興行を行ったのが1895年。その100年後にあたる1995年、この地で、インド映画祭”ノクターン・インディアン”をスタートさせました。
1997年からはアジア全体に焦点をあて、アジアの実写映画、アニメーションなど80の映画が上映され、あわせてアジア文化を紹介するイベントも開催。
映画館5館を含む、本屋さんやアートギャラリーなど40会場以上で映画や文化イベントが繰り広げられ、リヨンはさながらアジアの都となります。
今回「ふるさと-JAPAN」は<アニメーション部門>で「パプリカ」(今敏監督)、「鋼の錬金術師」(水島新司監督)とともにコンペティションノミネート。
<子ども映画部門>では中国やタイの映画5作品とともにノミネートされ、12日の授賞式では、その両方でグランプリを受賞しました。
この映画祭では、ワオコーポレーションの長編アニメーション第1作「NITABOH」が”観客によるベストアニメ映画賞”第1位に選ばれています。
●映画祭の様子を詳しく紹介します●
11月のリヨンはもっと冷え込むはずなのに、朝は吐く息が白いものの、陽が射すとコートを脱ぎたくなるような気候で、お天気が続いてとても気持ちのいい日々でした。
「ふるさとーJAPAN」の上映は11月11日。
その日は時折小雨がちらつくお天気でしたが、会場の“Le Zola”前はずいぶん前から人だかりがして、開場と同時に館内は満員の状態です。
上映前の監督挨拶では、映画にこめた想いやその内容が語られました。
映画が暗闇の中から聞こえる機銃掃射の音で始まること、白黒の画面は戦争の暗い時代から、敗戦の混乱期を表現し、その後の、しだいに復興していく様子をカラーで表現したこと。
“特攻隊”の場面があるが、それは監督なりに反戦の思いを込めて描いたことなどが語られました。
フランスの人々に50年前の日本の話が理解してもらえるのか?
100分の上映後は、拍手が鳴り止まず…。その後、観客から質問が続きます。
「音楽がとてもいいけど、誰の曲ですか?」
「映画の中のアキラはもしかして監督自身?」
「なぜ、日本での公開前にリヨンで上映したのですか?」などなど。
最後の質問に監督は「学生時代に監督になりたかったのですが、そのころ、フランスの映画監督、フランソワー・トリュフォー監督やジャン=リュック=ゴダール監督、ルイ・マル監督の映画を良く観ていて、3人の影響をうけたと思います。今回、フランスで上映することで、少しでもその恩返しができたらいいなと考えました」
観客から再び盛大な拍手があがったのでした。
映画祭期間中、会場となったシネマオペラやPATHEPATHE劇場など、上映前になるとどこも行列ができる状態です。みんなチケットを買っての入場。リヨン市民の映画に対する思い、またそういった文化度の高さをひしひしと感じることができました。
12日。いよいよ発表です。
会場となったASTORIA前には、2重3重の列ができていて、大きな会場もあっという間に満員。閉会式は立ち見もでる状況でした。
発表は<子ども映画部門>から ----
呼び上げられたのは「ふるさとーJAPAN」!
フランス語なので他のことばはわからなくても、“ふるさと”と“西澤昭男“ははっきりと聞きとれました。オーッ!と拍手と声に押されて監督は舞台へ~
<子ども映画部門>は、実際にリヨンの中学校で生徒たちが鑑賞し、生徒さんが審査員となって、投票と感想文を書いてくれたということです。
いくつか感想文も読み上げられました。
◎映画の中で歌(童謡のこと)が歌われているけど、ラストにかけてだんだん素晴らしくなっていって、盛り上がっていったところが感動的だった。
◎監督が自分の子どものころの話をまとめたから、感動的に仕上がったんだなと思った。
子どもたちが選んでくれたことが、本当にうれしいかったです。
次に<アニメーション部門>の発表です。
「鋼の錬金術師」が3位、「パプリカ」が2位と呼ばれ、ついに「ふるさとーJAPAN」が1位に選ばれました。
ダブル受賞です。
が、はじめは監督もスタッフも理解できず、ボーッとしていたというのが、本当のところです。
舞台に上がった監督、まずはフランス語で“メルシー・ボク“(有難うございます)の一声。
この映画は日本の子どもたちに向けたメッセージとして作ったが、映画の発祥のこの地で、みなさんに理解していただき、また評価を受けて大変うれしく思っていること、自分のアニメがマンガや劇画というより、実写映画に近い描き方をしていること、などが語られ、最後に「自分は60歳から映画監督になりました。ここにおられるみなさんもいくつからでも映画を創ることができます。どうかがんばってください」と締めくくりました。
授賞式の後は、この映画祭の責任者、ジャン・ピエール・ギメネズさんはじめ、映画祭を支えたスタッフの方々との夕食会。
みんなで、中華料理を食べながら、わいわい映画のことを夜がふけるまで話し合う、リヨンの人々の映画にこめる熱い気持ちに、私たちも感動を覚えた夜でした。
<文・写真 西澤眞佐栄>
イタリア・ボローニャで開催される「フューチャー・フィルム・フェスティバル」は、アニメーション映画をはじめ、映像の特殊効果技術やビデオゲームなど最新テクノロジーに関する、イタリア国内で最高峰のイベントです。 毎年著名な監督やアートディレクターたちが新作を引っ提げて集まります。
今年で10回目を迎える同フェスティバル・映画祭部門で、「ふるさと―JAPAN」が世界から集う優秀な作品とともに公式招待上映されます。
【上映日時】1月19日 12:00~ (会場:シネマ・シアター・マンゾーニ)
なお、第1作「NITABOH」も2006年の第8回フェスティバルで公式招待上映されました。
シンガポール最大の映画の祭典「シンガポール国際映画祭」は、今年で20回目を迎えました。約40カ国300本以上の作品が上映される東南アジアを代表する映画祭として、世界の評論家から高く評価されています。
★「ふるさと-JAPAN」は、4月22日と28日に上映されました
10:45開場。会場の入口で、来場者に監督のメッセージと映画のパンフレットを配付していると、わずかの間に長い行列ができました。約300名を収容できる会場は満席状態。観客は10代20代の若者が大半で、シンガポーリアンを中心に、日本人、マレーシア人、中国人など。なかでも、欧米の人が多いのが印象的でした。前作「NITABOH」に続いての公式招待上映となりますが、シンガポールでは西澤監督のアニメーションが定着しつつあること、期待感が高まってきていることを肌で感じました。
11:10上映開始。コミカルなシーンでは笑い声が、悲しいシーンでは鼻をすする音が、会場のあちこちから聞こえてきます。すべての観客が映画に引き込まれているようで、エンディングテーマが終わるまで誰も席を立とうとしませんでした。
シンガポールは雨季が終わったにも関わらず、雨の日が続いてます。そんな雨空を吹き払うかのような力強い拍手と歓声の中、「ふるさと-JAPAN」は大盛況のうちに幕を閉じました。
都道府県 | 会場 | 都道府県 | 会場 |
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東京都 | ユナイテッドシネマ 豊洲 | 奈良県 | MOVIX橿原 |
神奈川県 | 横浜市シネマ・ベティ館 | 栃木県 | MOVIX宇都宮 |
大阪府 | MOVIX堺 | 岡山県 | TOHOシネマズ岡南 |
大阪府 | ユナイテッドシネマ岸和田 | 香川県 | 高松ホールソレイユ |
和歌山 | ジストシネマ和歌山田 | 大分県 | シネフレックスTOHO |
ロードショーにさきがけ、全国22会場で完成披露試写会を開催しました。
都道府県 | 日時 | 会場 |
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▼2006年度 | ||
青森県 | 7/9(日) | 青森県民福祉プラザ県民ホール |
福島県 | 7/2(日) | 福島テルサあぶくま |
広島県 | 7/2(日) | 広島県民文化センターふくやま 多目的ホール |
宮城県 | 7/2(日) | せんだいメディアテークスタジオシアター |
栃木県 | 6/17(土) | 栃木県総合文化センターメインホール |
滋賀県 | 6/17(土) | 栗東芸術文化会館さきら中ホール |
佐賀県 | 6/11(日) | アバンセホール |
新潟県 | 6/10(土) | 新潟県民会館小ホール |
北海道 | 6/2(金) | 札幌東宝プラザ |
秋田県 | 6/2(金) | 秋田市文化会館小ホール |
和歌山県 | 6/1(木) | 和歌山県民文化会館小ホール |
5/29(月) | ||
群馬県 | 5/28(日) | 高崎市文化会館 メインホール |
岡山県 | 5/28(日) | 岡山コンベンションセンターママカリフォーラム |
福岡県 | 5/21(日) | 北九州国際会議場メインホール |
徳島県 | 5/21(日) | ふれあい健康館ホール |
大分県 | 5/18(木) | コンパルホール文化ホール |
奈良県 | 5/14(日) | 橿原文化会館大ホール |
香川県 | 5/7(日) | 高松市文化芸術ホール(サンポートホール高松) 第1小ホール |
岩手県 | 4/29(土) | 岩手教育会館大ホール |
東京都 | 3/27(月) | 新宿明治安田生命ホール |
大阪府 | 3/19(日) | 御堂会館大ホール |
東京都 | 3/16(木) | 新宿明治安田生命ホール |
(1) 7/18(金)19:00~ (2) 8/30(土)15:00~
※「NITABOH」も放映されました。
(1) 7/19(土)15:00~ (2) 8/29(金)19:00~